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正宗
1300年頃、相模国で活動した五郎入道正宗は日本を代表する刀匠である。焼刃の霧のような結晶構造で珍重されるその刀は将軍や大名の家宝となり、いくつかは国宝に指定され、その名は今も鍛えられた鋼の完成度の基準であり続けている。
彼の最も有名な刀、本庄正宗は1561年に武将・本庄重長が戦場で奪ったもので、重長はこの刀による一撃で兜が割れながらも一命を取り留めたと伝わる。その後この刀は徳川将軍家の権威の象徴として伝えられた。1939年に国宝に指定されたが、1945年末、連合国占領軍の武器没収命令のもとで東京の警察署に提出され――以来行方が知れない。世界で最も追い求められている行方不明の刀のままである。
“十分によい仕事をすれば、署名の有無にかかわらず七世紀にわたって名は残る。”